みんなで考える……考えてくれ!!

千葉県柏市通り魔事件の竹井容疑者が書いた文章動画が、

ネット上に出回っている。

 

どこまで本当のことを書いているのか分からないが、

異常性を感じることは間違いないし、

俺が今までに携わってきたパーソナリティ障害の人間たちと、

思考や行動が驚くほどそっくりである。

 

俺の経験上から言っても、周囲が、

竹井容疑者の異常性、危険性に気付いていないはずがない。

 

俺のところには、毎月何十件と、

こういった子供をもつ家族からの、相談の電話がある。

 

俺にできることは本人を医療につなげることだが、

民間企業でやっている以上、受けられる数にも限界がある。

 

「子供のために、何もかも犠牲にすることはできない」

「子供のために、そこまでお金をかけられない」

そんな理由で業務に至らなかった家族が、たくさんいることも事実だ。

 

これまで、精神保健福祉法第20条には、

「保護者の義務」が明確に定められていた。

保護者(家族)が、精神障害者の権利を擁護するとともに、

必要な医療を受けさせ、財産上の保護などを行うなどの義務である。

 

しかし、今年4月からは、改正精神保健福祉法が施行され、

「保護者の義務」規定も削除される。

 

つまりは、竹井容疑者のような人間が、

結果的に家族からも見放され、

野放しになる可能性は、ますます増える。

 

だからこそ俺は、一般のひとたちがトラブルに巻き込まれたり、

異変を察知したときには、

速やかに通報できる仕組みが必要だと思っている。

 

たとえば竹井容疑者も、事件を起こす前に、

バイク店で奇声を発して店員に飛びかかるなど、

明らかにおかしな行動をとっていたという報道もあった。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140306/k10015772221000.html

 

こういうことが起きたときに、110番通報はもちろん、

警察と保健所が連携して、本人を速やかに医療につなげる。

 

そういった仕組みが確立できて、社会的に周知されれば、

今回のような事件は、未然に防げるようになっていくはずだ。

 

対象者(本人)を抱える家族に認識を促すことにもなるし、

家族がとれる対応の道も、広がることになる。

 

それが、罪のない尊い命を守ることであり、

本人を犯罪者にしない=本人の人権を守ることにもつながる。

 

幼児虐待やDVの通告・通報と同じと考えたら、分かりやすいだろうか。

一昔前まで、周囲のひとが幼児虐待やDVに気づいて、

警察や児童相談所に通報しても、

「民事不介入」を理由に、積極的に動いてはもらえなかった。

 

しかし多発する事件を踏まえて、

【異変に気づいたら通報する→警察や児相が積極的に介入する】

という仕組みが、できあがりつつある。

 

なかには誤解や勘違いもあるかもしれないが、

小さな命、弱いものの命を守るためには、

敏感に反応するくらいの姿勢が、ちょうどいいとも言える。

 

実は、精神保健福祉法上でも、

一般人が通報できるシステムは条文化されている(第23条一般申請)。

しかし内容が現実に即していないこともあり、

形骸化してしまっている。

 

俺のところには、近隣住民とのトラブルに関する相談

(妄想や幻聴など精神障害と思しき症状を呈している近隣住民から、

被害を与えられているなど)も多いのだが、

こういったケースがいっこうに解決しないのも、

【一般人が通報→しかるべき専門家が医療につなげる】

という仕組みが、現実に機能していないからである。

 

俺は、誰でもこのような問題に遭遇する可能性があると思って、

ブログ上でもしつこく触れているのだが、

いつもブログを読んでくれている読者の方は、

この問題を、どのように考えているのだろうか?

 

もし少しでもこの問題を身近に感じたり、

俺の意見に共感するところがあると思ってくれるなら、

あなたの身のまわりのひとと、この問題について語りあい、

考えてみてほしいと思う。

 

俺は俺で、なんとか一般申請の仕組みが、

現実に機能するようにならないかと頑張っているのだが、

結局は、大衆の意識こそが、国や制度を動かすのである。