ルーツ

自分のルーツについて考えたり、

生い立ちを振り返ったりする機会は、

意外とないのかもしれない。

 

俺のお袋は、そういうのを何でも包み隠さず話してくれたが、

隠す親っていうのも、けっこういるんだよな。

 

自分のルーツや生い立ちをきちんと理解するって、

けっこう大事なことだと思うんだけど。

 

俺が「本気塾」などで、事件に巻き込まれたり、

犯罪を犯したりした若いひとを助けるときには、

まずは家族(親)から詳細なヒアリング(聞き取り)を行い、

本人にも、幼少期からの出来事(おもに犯罪にまつわること)を、

時系列でノートに書くように言う。

 

そうすると、たとえば幼少期の万引きなど、

過去にもさまざまなサインがあったことが分かる。

 

本人が起こした犯罪や事件が、

決して突発的に行われたわけではない、ということが、

まざまざと浮き彫りになるのだ。

 

親は親で、子供の成育過程において、

自分たちの結婚の馴れ初め、離婚理由、経済的なことなど

子供に嘘をついているケースも多い。

そういうことも、ヒアリングを通じてつまびらかになっていく。

 

けっこうびっくりするような事実が発覚することもあり、

本人(子供)は、怒ったり落ち込んだり悩んだりする。

しかし、親の真実の姿を知ることで、

親への依存を断ちきったり、関係を見直したりすることになり、

必然的に、自分がこれからどう生きるか……

ということにも、真剣に向き合わざるを得なくなる。

 

別に、「親がこうだから、子供もこうだ」みたいな、

遺伝の話をしたいわけではない。

 

己のルーツや生い立ちをないがしろにしていては、

今の自分がふらふらするのは、当たり前だと思うのだ。