くれくれ人間

うちの本気塾のスタッフが先日、

他のリハビリ施設の施設長と話す機会があったときに、

「こういうタイプは、回復(自立)が難しい、と思うのはどんなひとですか」

と聞いてみたらしい。

 

すると施設長は、「あくまでも私の感覚ですが」と前置きしながら

「初対面でいきなり、“ジュースをおごってくれ”というような方は、まず、だめですねえ」

と言ったそうだ。

 

そういう人は、施設に入所後も、あれをしてほしい、これはしたくない……など、

自分の要求ばかり突きつけてくる、と言うのだ。

 

これは俺も、とても共感できるものがある。

 

本気塾に来るような奴もたいてい、

他人に金を出させることを何とも思っていない。

飯を奢ってもらう、何かを買ってもらう、生活の面倒をみてもらう……

他人がそこまでしてくれることに対して、

感謝もなければ、申し訳ないという気持ちの片鱗すらない。

 

それどころか、もっと良い物を食わせろ、良い生活をさせろ、と要求する。

「自分にはそれだけの価値がある」と、思っているのだろうか。

 

じゃあ、金に無頓着なのかと言えば、そんなことはなくて、

自分の金には、100円単位で目を光らせる。

他人のために身銭を切るなんて、まっぴらごめんだ、とはっきり言う。

 

なんだかなあ……と思うことしきりだ。

 

俺もお金は嫌いじゃないが、金額だけに価値を見いだすような生き方はしたくない。

 

たとえば同じ一万円でも、

ものすごく重みがあって、ありがたく頂く一万円もあれば、

ものすごく軽くて、死んでも受け取りたくない一万円もある。

 

そういった、お金に付随している“気持ち”を抜きにして、

ひたすら「くれくれ」言えちゃうひとは、結局のところ、

この経済社会の中ではカモにされるばかりで、沈んでいくのがオチなのである。