やっぱり!命なんだよ

年々、相談にくる家族も、その対象者も、高齢化している。

そのせいか最近は、精神疾患を持つ対象者が、身体の病気も抱えている。

そんなケースが増えつつある。

 

精神科への入通院歴はあるが、通院や服薬をやめてしまった。

ひきこもりがちで、家族との関係も良くない。

それでいて、専門の医療にかからなければならないレベルの

身体の病気を抱えている。

 

とくに薬物やアルコールへの依存は、年月の経過とともに

内臓もむしばまれていくから、のっぴきならない状態の患者もいる。

 

それなのに、内科の治療を受けることや、

必要な薬を飲むことを拒んでいるのだ。

 

当たり前のことだが、こころの状態が悪くなれば、

身体のメンテナンスにも関心がなくなる。

 

俺の知っているケースでも、内科の持病を持っている精神障害者が、

精神科への通院や服薬をやめたとたんに、内科の薬も飲まなくなり、

このままでは命の危険がある、という例があった。

 

この患者を抱える家族は、こんなことを俺に言った。

「精神科に相談に行けば、内科に行ってくださいと言われ、

内科に相談に行けば、精神科に行ってくださいと言われる。

いったいどうしたらいいのでしょうか!」

 

このたらいまわしこそが、現実なのだ。

 

しかし、対応する家族にも問題がある。

 

「このままでは死んでしまうかもしれない……」と言いながら、

「でも、本人が病院に行きたくないと言うし……」、

「無理やり連れて行って、関係がこじれるのも嫌だし……」などと言うのだ。

 

そんな悠長なことを言っている場合なのか。

なぜ、首根っこをつかんででも、医療機関に連れて行かないのか。

 

一つには、どこに相談に行ってもたらい回しにされた結果、

家族が諦めてしまい、現実から目を背けていることが理由として挙げられるだろう。

 

家族のこころも健康ではなくなるから、

命に対する意識が、薄くなってしまうのだ。

 

このままじゃ、いかん!

なんとかせにゃ、いかん!

 

これはもはや、イチ家族の問題ではない。

国レベルで、取り組まない限り、

命の重さはどんどん軽くなるばかりだ!!

 

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