長距離運転で感性を鍛える
数年前、福岡に自立・更生支援施設「本気塾」をつくった。
施設といっても、そんな立派な建物じゃなくて、古い一軒家である。
家庭内暴力、ひきこもり、薬物やゲーム、ギャンブル依存なんかで
道をあやまった若い(悪い)人たちの、更生や自立を手助けしたいと思ってつくった塾だ。
そんなわけで俺は、だいたい月に一回は、東京と福岡を往復している。
時間がないときは飛行機や新幹線をつかうが、車で移動することもある。
これはこの間、福岡から東京に戻ったときの、車のメーター。
右下に、1066キロって出てるのが、全走行距離。
このときは、九州道~中国道~名神道~中央道~首都高速~新宿っていうルートで走った。
何回かパーキングで休みはとるけど、どっかに泊まるってことはしないので、
だいたい13時間くらい運転しっぱなしだ。
正直言って毎回、運転中に一度か二度はヒヤッとするような目に遭う。
そのヒヤッとする場面をうまいことスルッと切り抜けるためには、
常に感性をはたらかせておくしかない。
感性をはたらかせるというのは、五感を総動員させることでもあると俺は思っているから、
これは、俺みたいな現場仕事中心の人間にとって、何よりの鍛錬になる。
なんと言っても、長距離運転中はものすごい集中力を求められる。
危機管理能力・危険予知能力を高めるには、もってこいって感じだ。
そのせいか、ふだん考えていたり迷っていたりした物事に対しての答えが
まるで天から降ってくるみたいに、すっと見つかることがある。
俺は大学も中退したような人間で、まったく真面目じゃない。
そういう人間は、常に追い込まれる状況、環境にいないとダメなんだなってことを
長距離運転のたびに、つくづく思い知らされる。
ぬるい環境にいると、脳が働かないようにできてるんだな。
まあ、そうは言っても、中国やアメリカみたいな広大な国土に住む連中だったら、
屁でもない距離だもんな。
俺もまだまだってことだ!