貴重なご意見ありがとうございます!

昨日のブログのコメントで、読者の方から

「専門家だって家庭や様々なしがらみがあり、全てを仕事に捧げられる訳では無い」

というご意見をいただいた。

また、このご意見に対して、ご自身の思うところを書いてくださった方もいた。

 

俺の言葉が足りないところもあったと思うので、少し、書き足しておきたい。

 

今回コメントでいただいたご意見であるが、押川脳でピピッと翻訳した結果、

「他人の家族のために、自分の命を落とすようなことはできない」

ということではないかと、読み取った。

 

これは、非常にストレートかつ正直な意見だし、

ここにこそ、俺がいつも言っている問題の核心がある。

 

俺はこの仕事をする上で、「万が一のことがあっても、しゃあねえな!」

という覚悟を常に持っているが、だからといって、

「いつ死んでもいいや!」と思っているわけではない。

 

命は大事にしたいから、危険予測のために徹底調査もするし、

(もちろん、病気の有無を確認する=対象者の尊厳を守るための調査でもある)

危ない現場ほど、関係各所と連携をとってからでなければ、

とても踏み込むことはできない。

 

つまり俺は何も、保健所や児童相談所などの専門家の方々に

「命がけで現場にいけ」と言いたいわけではないのだ。

 

だが、ここで冷静に考えなければならないことは、

行政の専門家の方々が仕事をする上で、

少なからず身の危険を感じている、という事実である。

 

表沙汰になっていないだけで、たとえば自宅訪問をした行政の専門家が、

対象者から暴力を振るわれたり、暴言を吐かれて怖い思いをしたり、

そのようなことは、日常的に起きている。

 

精神保健分野でいえば過去には、自宅に往診に訪れた精神科医が、

患者に刺されるという事件も起きている。

 

それほど「家族の問題」の中には、危険に満ちている案件がある。

対象者に暴力性がある、自傷他害の恐れがあるなど、

初期介入の非常に難しい案件は、少なくないのだ。

 

そして、多くの専門家たちが、その事実を知っている。

 

ならば、その難問を、「どのように解決していくか」という

活発な議論が行われるべきではないか?

というのが、俺が言いたいことなのだ。

 

現状では、家族から相談を受けた時点で介入が難しいと分かるような案件は、

ひたすら避けて、排除しているだけだ。

その顕著な例が、「何かあったら110番通報を」という決まり文句だし、

それではとても事件防止にはならないことは、

兵庫県洲本市の事件などで、証明済みなのである。

 

保健所の専門家が、何もしていないなどと、思ってはいない。

むしろ今は、対象者が素直に面談に応じるような、

危険性の高くない問題に関しては、積極的に自宅訪問もしてくれる。

 

だからこそ、そういった専門家の得意分野をより活かせるように、

法律や仕組みも変わっていくべきではないだろうか。

 

たとえば、精神科医の中には、往診に行ってあげたくとも

身の危険があるから……と躊躇している医師もいる。

でも、俺が提唱する「スペシャリスト集団」のような、

危機管理のエキスパートが一緒ならば、往診もできます、と言う医師もいる。

 

当然、「スペシャリスト集団」を設立するとなれば

身体や生命を守るための、訓練やノウハウも必要になってくるだろう。

その過程において、適性の有無なども見られるだろうし、

もしかしたら、誰にでもできるような仕事とはならないかもしれない。

 

しかし、家族の問題の最前線に、いかにして踏み込むか。

解決すべき問題点は、まずはそこにある。

しかも哀しいかな、我々は、ここ一年だけでも、

幾つもの哀しい事件を通じて、それを目の当たりにしている。

 

そもそも、現状は主管行政機関としての役割は、

保健所(精神保健福祉センター)が担っているわけだが、

人材や予算も含めて、すでにキャパシティを超えているのではないか?

という疑問さえ、沸いてくる。

 

俺は著書の中でも、これらの点を指摘したのだが、

知人の精神科医や保健所の職員の中には、

「自分たちが言えないことを、よくぞ言ってくれた」

と、俺の意見に賛同してくれた方々すら、いたのである。

 

これもまた、現場の貴重な声の一つだ。

 

(「保健所が最適な主管行政機関なのか?」ということに関しては、

まだまだ書きたいことがあるので、来週辺りにシリーズで書くつもりだ)

 

とにかく! いい加減サイレントはやめて、活発な議論を通じて、

少しでも問題を抱えた家族が良い方向にいくよう、考えていきたいのである。

 

俺の提唱する案が、絶対だとは思わない。

俺自身も、もっと良い案がないか、

もっと早く家族を助けられる方法がないか、

また、お金をかけずに解決できる方法が編み出せないか、

毎日のように考えている。

 

そういう意味では、このようにブログを通じて

さまざまな意見をいただけることを、とてもうれしく思う。

 

自分も多少なりとも文章を書いている人間なので、

皆さんが、貴重な時間を使って真剣に考えて

コメントを書いてくださっているのも、よく分かっているつもりだ。

 

本当に皆さん、ありがとうございます!!

そして今後も応援&さまざまなご意見、お待ちしています!!

 

もちろん、ひと言コメントも楽しく読ませてもらってます!!

 

表紙    押川チラシ