若年層の親殺し

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(以下引用:河北新報 12月2日)

 

父親刺殺容疑で19歳長男逮捕 仙台

 

父親をナイフで刺殺したとして、宮城県警泉署は2日、殺人の疑いで、仙台市泉区の無職の少年(19)を逮捕した。

 

逮捕容疑は1日午後9時ごろ、自宅2階で会社員の父親(49)の胸や背中をナイフで刺し、殺害した疑い。

 

泉署によると、少年は1日午後9時すぎ、「ナイフで父を刺して殺した」と同署将監交番に自首した。「口論になって刺した」と話しているという。

 

 

(以下引用:TBS系(JNN) 11月30日)

 

「おじさん殺した」 17歳少年から事情聴く 石川・中能登町

 

30日午後、石川県中能登町で17歳の少年がおじを刺して殺害する事件があり、警察が、「人を殺した」と言って町の施設に現れた17歳の少年から話を聴いています。

 

30日午後1時半ごろ、石川県中能登町のJA能登わかば鳥屋支店の職員から、「人を殺した」と言って入ってきた男がいると、警察に通報がありました。

 

警察官が駆けつけると、17歳の少年が「おじさんを殺した」と話し、およそ100メートル離れたアパートの部屋で倒れている男性を発見し、男性は搬送先の病院で死亡が確認されました。男性には左の首など数か所に刺し傷があり、少年も右手にけがをしています。

 

アパートの近くからは、凶器と見られる包丁が見つかっています。警察では、殺人容疑での逮捕を視野に調べを進めています。

 

 

(以下引用:産経ニュース 2015年11月29日)

 

自宅で母親に暴行、死なせた疑い 19歳の無職少年逮捕 新潟

 

新潟県警新潟北署は29日、母親(51)に暴行して死亡させたとして傷害致死の疑いで、新潟市北区の無職少年(19)を逮捕した。

 

逮捕容疑は26日午後7時ごろ、自宅で母親と口論になり、腹部に暴行を加えて内臓損傷による出血性ショックで死亡させたとしている。

 

署によると、翌27日午前8時ごろ、寝室で倒れている母親を少年が発見。「夜にけんかした。起きたら母の意識がない」と119番通報した。調べに対し「腹部を手で押しただけだ」と供述している。少年は4人暮らし。事件当時は母親と2人だけだった。

 

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まだ年齢も若い子供が、簡単に親や親族を殺す。

 

20年前から、家族の問題を間近で見続けてきた俺は、

当時から、家族間の殺人一歩手前というケースに、

けっこうな数、遭遇してきたと思う。

 

それでも最近は、とくに若い世代に、

歯止めがなくなっているのを感じる。

加減が分からない子供が、増えているのではないか。

そんな気がしてならない。

 

こういった事件を起こす子供たちも、自首をしていることが多く、

おそらく理屈上は、殺人が問答無用に許されないことだと理解しているはずだ。

 

また、よほど無秩序な親ではない限り、

「他人を傷つけていい」という教育などしていないはずだし、

むしろ、思いやりをもった人間になってほしいと、

当たり前のように願って、子育てをしているはずだ。

 

それでも、最後の一線を、いとも簡単に越えてしまう子供がいる。

 

いくら言葉で、理屈で言い聞かせても、

教えきれないことだってあるのだということを、思い知らされる。

 

しかし今は、本当に悪い、間違った言動に対するげんこつでさえ、

すぐに虐待だ、体罰だといわれてしまう。

 

厳しい言葉で叱ることさえ、難しくなった。

 

子供同士の喧嘩にしても、殴りあいの喧嘩なんて、

あまりしなくなっているのだろう。

ときには危険を伴うような、身体をつかった遊びなども、

周囲の大人が心配して、先回りして、取り上げているのが、

現実ではなかろうか。

 

危ない行為に対する経験則や、傷つけられたときの痛みを知らないから、

「ここまでやったらアカン」という境目も分からない。

 

だから、カッとなると、一気に、いくところまでいってしまう。

相手が、親きょうだいや親族など身近な人間であれば、なおさら

感情が先走り、止めるものがなくなってしまう。

 

俺のところに来る依頼も、年々、本気で危ないのばかりになっている。

一刻の猶予もないような案件ばかりだ。

 

だけど表面的には、どの家族も、「ごく普通」にしか見えない。

そのギャップが、俺にはとても恐ろしい。

 

こういった問題を抱える親の中には、相談の際に、

「子供が、第三者に危害を加えるかもしれない」

「子供が、『秋葉原のような通り魔事件を起こしてやる』と言っている」

とまで、言及している親もいる。

 

そんな相談を、毎日のように受けていると、いつなんどき、

自分が通り魔事件に巻き込まれてもおかしくない、と思う。

 

読者の中には、「自分の家族は、大丈夫」

と思っている方も多いと思うが、対岸の火事と思わないでほしい。

 

子供に限らず、理性をなくし、行き場のない怒りを抱えている人間が、

どんどん膨れあがっているのを、俺は感じている。

 

とくに年末年始は、浮かれて注意散漫になりがちだ。

クリスマスのイベントや、忘年会・新年会が続き、

公の場であることも忘れて盛り上がったり、

酔っ払って、深夜にフラフラしたりすることもあるだろう。

 

ほんの少し、気持ちを引き締めて歩くだけでも違う。

どうか、注意してほしい。

安全神話は、もはや遠いものになったのだ。