自慢できるほどの貧乏

60代、70代になっても、現役バリバリどころか、 

もう一旗あげちゃうんじゃないの? っていうくらい、 

活躍しているひとがいる。

 

最近の俺は、そういう年上の男たちと

一緒に仕事をする機会に恵まれていて、 

毎日が楽しくてしかたがない。

 

酒を飲んだりもしながら、彼らの生き様を教えてもらううちに

俺は、彼らの共通点を見つけた。

とにかく、上がり下がりの激しい人生を、経験しているのである。

 

「僕はね、貧乏だけは、自慢できるくらいしてきたよ」 

彼らはにこにこと笑いながら、そう言う。 

 

他人のために自腹を切りまくり、

他人のケツ拭きで飛ばされまくり。

そういう生き方をしてきたから、

落ちるときはとことん落ちた。

 

だけど、彼らは言う。 

「貧乏をしていたときに、励まし合ったり支え合ったりした仲間が、

グッと上がったときに、また自分を助けてくれたんだよ」

 

こういう男たちは、人生のバイオリズムのなんたるかを、 

もう身体で分かっている。

めいっぱい下がらなければ、めいっぱい上がることなどない、 

それを、分かっているのだ。

 

だから、現時点で手元に金がなかろうが、

困った立場に置かれていようが、

まったく動じることもなく、泰然としている。

 

そりゃそうだよな。

金やら幸福やらを、たらふく天に投げるような生き方をしてきたんだもんな。

あとは降ってくるのを待つだけだ。

 

自分の立場ばっかり気にして目先の動きをとったり、

金やら保証やらを他人に求めるような生き方をしているひとには、

でかいもんは降ってこないのだ!