正直に生きられるという幸福

自分に正直に生きているひとって、どれくらいいるのかな。

 

やりたい仕事ができているとか、

満足できるほどの金を持っているとか、

そんな表面的なことではない。

 

他人に迷惑かけてでも、やりたい放題、

言いたい放題やるのとも違うぜ?

 

もっと心根のところで、自分のあるがままを受け入れて

健康的なこころで、生きられているか。

 

そのためには、自分という存在を深く知ることも必要だし、

そういう自分を受け入れてくれる「誰か」の存在も、絶対に必要だ。

 

だから、「自分に正直に生きているか?」という質問に、

「YES」と答えられるひとは、

それだけですごく幸せだと、俺は思うな。

 

俺は、「本気塾」や移送の仕事を通じて、

犯罪・事件に巻き込まれたひとをたくさん見てきた。

もちろん、生粋の犯罪者にも、やたらと遭遇してきた。

 

そういうひとたちに共通して言えるのは、

とにかく二面性を持っている、ってことだ。

 

裏ではゲロゲロの悪いことをしているのに、

表面的には「そんなこと一切していません!」という顔で生きている。

むしろ、悪事を隠し、取り繕うために、

普通のひとよりも、優しい仕草や物腰、言葉遣いを身につけている。

 

なかには、恋人や家族がいる奴もいて、

家では「いい恋人」「いい親」を演じている。

 

よく、殺人を犯しておきながら、その後何日も普通の顔をして、

学校や仕事に通っている犯人がいるだろ?

あれとまったく同じだ。

 

他人様だけじゃなく、自分にも嘘を吐きまくっているんだよな。

でも本人にしてみれば、もはやそれが快感になっちゃっている。

 

だから俺がいつも、「更生したい」という若いひとに言うのは、

「自分を一つにしてください」ということなんだ。

 

犯罪者として生きるのか、真人間になりたいのか。

あっちにもこっちにも、良い顔するのはやめてよねって。

 

もちろん生き方を一つに決めて、更生するまでには、

本人も相当きつい思いをせざるをえない。

 

だって正直に生きるためには、

等身大の自分を見つめなおさなきゃいけないし、

その結果、自分に何ができて、できないのかも、はっきり露呈する。

諦めること、手放すものも、たくさん出てくる。

 

でもそこを乗り越えたときには、顔が一つになるわけで。

お金とか地位とかそんなものはなくても、

ものすごくいい顔……、それこそこころが安定した、

健康的な顔になって生きているよ。

 

もちろん、途中で逃げ出す奴もいれば、

時間とともに、再び二つの仮面をつけるようになる奴もいるんだけどね。

 

人間はそもそも一つの身体、

一つの顔しか与えられていないんだからさ、

別に二つも三つも作り上げて、使い分けようなんて、

それ自体がおこがましいことなのにな……。