恩師の教え

俺の学生時代の恩師といえば、唐木幸比古先生である。

 

先生のことは、以前にもブログに書いたことがあるが、

スーパーコンピューターの創設に携わった天才で、

若くして亡くなることがなければ、ノーベル賞くらいもらっていたはずだ。

 

唐木先生が亡くなったとき、俺は本当にショックだったが

その教えは、今でも身体に染みついている。

 

この間も、唐木先生が授業中に話していたことをふと思い出した。

俺が大学生の頃の話だから、25年くらい前のことだ。

先生はこう言っていた。

 

「これからはパソコンが普及して、

ソーシャルネット間のやりとりが主流になる。

ものを書くことはラクになるが、

文字は粗末に扱われるようになり、思考が奪われていく。

本という存在も、なくなっていく。

 

意思伝達は早くなるが、その分、時代の流れも速くなり、

常にイノベーションを求められるようになるだろう」

 

今の時代を、思い切り言い当てていると思わないか!?

 

言っておくが当時は、パソコンはおろか携帯電話もなかった時代だ。

学生は皆、「何を言っているんだ?」という顔をしていたよ。

 

でも俺は、先生の話を聞いて、こうも思った。

「人間のこころ(感情)という、コントロールできない部分こそ、

普遍だし、必要とされるようになるのではないか」

 

そのときに感じたことが、今の俺の仕事につながっている。

 

そして、唐木先生のように、過去を学び現在を感じ、

そのうえで、遠い未来を見越せるひとこそが、

本物の天才ではないかと、つくづく思うのだ。