ハト

俺の事務所の近くに、小さな公園があるんだけど、通りかかるといつも、誰かしらがハトにエサをやっている。上野公園なんかも有名だけど、ハトにエサをやる奴って、日本中にいるよな。俺は別に、ハトは好きでも嫌いでもないし、エサをやることに対して文句があるわけでもない。

だけど、ハトの動きを見ていると、なかなかおもしれーな、と思う。あいつらは、誰かがエサをばらまいている限り、そこに群がって食い続けている。その人のエサがなくなると、「さよーなら~」とばかりにいっせいに飛び立つ。そしてまた別の、エサをばらまいている人のところに降り立って、食い続ける

俺は、こいつらと同じ動きをとる人間を、たくさん見てきた。金やらうまい飯やら愛情やら、与えてくれそうな人間がいると、すごい勢いで群がってくる。与えられる限りは、延々と受け取り続け、その人が金やらなんやらを失うと、パーッと飛び立っていく。

与えられるばっかり。ハトと同じじゃんって、俺は思う。

 

いや、むしろハトよりたちが悪いかもな。エサをもらえなくなって飛び立っていくハトは、別に文句は言わないだろ? でも人間はどうだ。「昔は羽振りが良かったのにねえ」とか、「あの人はもうダメだねえ」とか、世話になった恩も忘れて、能書きばっかりたれるもんな。

でもそれは、与えるほうも同じなのかもしれない。手持ちのエサがなくなったとき、飛び立つハトに向かって文句を言う奴はいないけど、対人間となると、「こんなにしてやったのに!」とか「裏切り者!」とか言う奴がいるもんな。ひどいときは、それで殺人が起きたりする。

まあとにかく、そういう人間にはなりたくないな。ハトに恨みはないけど、ハト以下の生き方はどうかと思うもんな! こんなふうになっちゃう可能性もあるんだぜ…