いい躾からいいオーラが出る

親からきちんと躾けられた人間は、

それだけでいいオーラを放っている。

 

最近知り合った若い奴を見ていて、そう思った。

彼はまだ学生なんだけど、最初に会ったときから

「こいつはいい奴だな!」と太鼓判を押せるものがあった。

 

ほかの人間と何が違うのかと考えてみると

挨拶や返事、電話の受け答えといった基本的な所作が、

丁寧で明るくて、スキッとしている。

 

まだ若いのに、相手を気持ちよくさせる言葉、行動が、

すでに身についているんだな。

 

こういうタイプの奴はきまじめすぎて、同年代の仲間うちでは、

おちょくられたり、バカにされたりしがちなんだけど、

彼の場合、そんなふうにひとからバカにされても、

怒りをあらわにせず、さらっと受け流している。

なんというか、品がいいのである。

俺にはそれが、無条件で信頼できるオーラのように感じられる。

 

躾として親がきちんと教えてきたのだろうし、

彼の親自身もまた、そういった気持ちの良い所作が、

身についているひとたちなのだろう。

 

逆に考えてみると、

ひきこもりだの家庭内暴力だの、薬物依存だの、

あるいは犯罪に巻き込まれた云々など、俺が携わってきた案件で、

彼のような気持ちのいい言動が身についている奴は、

はっきり言って皆無、である。

 

もう20歳も過ぎた大人が、

話しかけても、黙ってウンウンうなずくだけで、

挨拶一つ、返事一つできない。

ひどいのになると、食事の席で犬食いとか始めちゃうから、

箸の持ち方から教えなきゃならないようなこともある。

 

もちろん、表面的な振るまいだけは得意な奴もいる。

俺も昔はよく騙されてきたけど、

最近はさすがに見分けがつくようになった。

そういう奴らがいい感じに振るまえるのは、

自分にとって都合がいい状況のときだけだからだ。

 

それこそ他人からちょっと批判されたりバカにされたり、

あるいは謝罪をしなければならないような場面など、

窮地に立たされたときには、すぐに本性をあらわす。

ムッとして押し黙ったり、顔を真っ赤にして怒り狂ったり、

絶対に謝罪の言葉を言わなかったりね。

 

挨拶や返事、ひととしての受け答え。

それが身についているだけで、

どれだけお得な人生を送れることだろう。

 

学習塾だのお稽古だのに行かせまくるより、

ずっと大事なことじゃないか!?