「悪役」押川、万歳!

拙著「『子供を殺してください』という親たち」

の重版(4刷)が決まり、累計4万部に達した。

 

「悪役」小さい押川が4万人! 誕生いたしました!!!

 

今日は、せっかくなので、本書について

押川流の活用法を提示してみたい。

 

この本では、厚労省の方針や、行政(保健所や精神保健福祉センター)の対応、

医療機関の体制などについて、かなり赤裸々に書いている。

 

もちろん俺も、行政や医療機関の方々の努力は間近で見ているし、

人手不足、予算不足があることも理解している。

それでも、事態が動くように、もう少しなんとかならないものか…

というのが、俺の思いだ。

 

だからこそ、スペシャリスト集団の設立も提言しているのだが、

読みようによっては、行政や医療機関、ひいては厚労省に対する、

挑戦状のようにも読めるかもしれない。

 

このような本を出版し、テレビにも出ちゃって、

保健所や厚労省にブラックリストがあるとしたら、

俺はすでに名前が載っているに違いない(笑)

 

しかしそれは最初から覚悟の上だ。

 

そもそも、こじれきった問題の中から対象者を助け出すためには、

綺麗事など言っていられないし、誰かが悪役にならなければならない。

 

俺が悪役になることで、対象者の生命や身体を守ることができ、

家族もまた救われるのならば、それでいいと思っている。

 

そして「小さい押川」である著書が出版された今、

今度はこいつも悪役として利用することで、

困っている家族(親や兄弟姉妹、親族)、

または問題の余波を受けて困っている近隣住民の方々の

力になれれば、と考えている。

 

そもそも精神保健分野の世界は、法律と実態が乖離していることや、

ベールに包まれている部分が多く、

当事者家族ですら、仕組みがよく理解できていない。

 

だから、せっかく保健所や精神保健福祉センターに相談にいっても、

うまく説明ができず、なかなか現状を理解してもらえない。

 

その結果、職員に親身になってもらえなかったり、

あっさりたらい回しにされるようなことがあっても、

「そういうものか…」と、諦めて帰ってきてしまう。

 

そんなときには本書を見せて、

「我が家はまさに、こういう(身の危険のある)ケースなのだ」

と、緊急事態であることを、行政機関に訴えてほしい。

 

それでも「家族でやるように」と言われることがあるかもしれない。

しかし、本書p180~にあるように、

精神疾患に関する対応の主管行政機関は保健所や精神保健福祉センターであり、

積極的に介入し、医療につなげる役割を担っているのだ。

 

また、以前にも説明したが、なかなか医療につなげられないケースには、

「一般申請」により、指定医の診察や必要な保護を求める制度がある(本書p233~)。

法律にきちんと明記されていることなので、

近隣トラブルなどの第三者だけでなく、家族や親族が申請をすることも可能だ。

 

その他、よく読んでもらえれば、

「押川っちゅう奴がこう書いている」という決めゼリフとともに

交渉術として使える部分が、あるのではないかと思う。

 

俺の経験上、これから夏に向けて暑くなる時期は、

患者さんの状態が悪化することが多い。

 

なおかつお盆の間は、行政機関や医療機関も、

職員や医師が休みを取るため、手薄になる。

入院の受け入れなどは、まずしてもらえない。

 

切羽詰まった家族ほど、今のうちに、できることをしておくべきだ。

 

事務所には、相変わらずたくさんの相談をいただいているが、

俺の身体は一個しかなく、すべての依頼に応えられるわけではない。

 

せめて本だけは、できるだけ多くの家族の手に渡って

役に立ってほしいと思い、潔く、低価格の文庫書き下ろしとして出版した。

とっさに取り出せるように、ポケットサイズだ!

まさに「小さい押川」だろ!!

 

水戸黄門の印籠クラスとまでは言えないにしても

この「小さい押川」が、効力を発してくれれば、と思う。

 

家族はこの本を活用して、俺が隣に座っていると思って、

保健所など主管行政機関との交渉を頑張ってみてほしい。

 

そしてもし身近に、このような問題を抱える家族がいるならば、

この「小さい押川」を悪役として使う方法を、教えてあげてほしい。

 

「あの家族」を救えるのは、あなたかもしれないのだ。

 

表紙