究極の未来志向

 

読売新聞が連日、「孤絶 家族内事件」として、精神疾患をもつ子供を親が殺してしまった事件について取りあげているが、俺の『「子供を殺してください」という親たち』を読んだ読者、TBS水トク!「THE説得」を観た視聴者であれば、「今さらかっ!」という感じであろう。

 

二年前にあの本を刊行した時点で俺は、このままこの問題が放置されつづければ、家族内事件は続発し、地域住民が犠牲となる大事件も起きるだろうと予測し、本にも書いた。が、大手メディアがこれを社会問題として取りあげるまでに、実に二年もの時間を要したのである。その間には、相模原障害者施設殺傷事件という、凄惨で痛ましい戦後最大級の事件まで起きてしまった。

 

実は「子供の死を祈る親たち」(3月発売)の売上げが芳しくなくて、担当編集者からはかなり厳しいことを言われているのだが、最先端の現場から見た実態とその本質、解決策を噛み砕いて書いたこの本は、やはり二~三年後、いや早ければ一年以内に、「押川の言う通りだった!」となるのだろうと、俺は余裕で構えている。

 

当然、原稿を書いている間には、10年後、20年後の社会を多方向に見据えて、脳みそを振り絞りまくった。俺よりはるか知能指数の高い方々の知恵をお借りしたところもある。それをできるだけ安い文庫で世に出す。それが、本を手に取ってくれた方にできる俺の最大限のことだ。

 

ぶっちゃけ、「これは近い将来に向けて書いたものですよ」ということが分からない読者もいるだろう。そういう人は本を読んで「何デタラメ書いてんだ」と思い、俺の経歴をみて「やっぱり大学中退か(笑)」「無資格か(笑)」と、本を捨てるはずだ。別にそれで構わない。

 

トキワレポートにも書いてあったが、淡路5人殺害事件もタリウム事件も、裁判を通じて「被告に必要なのは医療ではなかったか」という疑問が噴出している。読売の今回の連載にしても、一般市民からしてみれば、「日本の精神科医療や、精神保健福祉行政ってどうなってんの?」というのが率直な感想だろう。

 

問題の本質に社会が気づきはじめるまでに、相当な時間がかかる。それが日本のカルチャーでもある。そこにあえて戦いを挑むのが、俺なりの未来志向であり、その一つの形が、「子供の死を祈る親たち」なのだ。長々と書いたが、総論としては「子供の死を祈る親たち」を買って読めよっていうことになったな(大笑)。

 

人間臭い!押川、そこに言い訳はしないからな。よろしく頼んだぞ!

 

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