黒幕は弁護士!? 相模原障害者施設殺傷事件3

 

相模原市の障害者施設での殺傷事件の続報だが、

厚労省は昨日、容疑者が入院していた病院に立ち入り調査をし、

措置入院の一連の経緯について、聞き取りを行っている。

 

およそ二週間という入院期間は、たしかに短い。

殺害予告を出し、なおかつ大麻の反応も出ていた以上、

なぜこんなに早く退院させたのか? という疑問はある。

 

措置入院は、本人、家族の同意がいらない強制入院であり、

入院までのハードルが高いからこそ、

専門家でなくとも、「退院後に事件でも起こしたら」と考えるし、

退院の時期は慎重に検討するはず……、大半の方は、そう感じることだろう。

 

それなのに今回、これほどの早期退院に至ってしまった理由は何か。

俺の現場脳から導き出される現時点での答えは、以下の三つのいずれかだ。

 

1 容疑者が精神保健の仕組みを熟知しており、

  早期に退院できるような言動をとった

 

2 薬物反応が消失し、言動が改まった時点で、

  保護者(家族)が受け皿になることを理由に交渉すれば

  早期退院できるとアドバイスをした者がいた

 

3 早期退院できるように導いた弁護士がいた

 

1と2の可能性は限りなく低く、3ではないかと、俺は睨んでいる。

 

退院に関して、いわゆる「人権派」と呼ばれる、

その道に長けた弁護士が介在する場合があること、

そしてそれがときに、家族の意向や医師の考えよりも力を持つことは

奇しくも、先日のASKAのブログがそれを如実に現している。

 

俺のブログにはあえて書かなかったが、内心は驚愕していた。

どうみても不自然な退院の流れでありながら、

弁護士に関わってもらうことで、それが遂行できると、

ASKAが赤裸々に書いていたからだ。

 

と同時に、このASKAの退院に関わった弁護士は、

「これ以上、よけいなことを話さないでほしい」と思っているだろうな、

なんてことも感じた。

 

このような案件に携わる弁護士は、それを公にされることを良しとはしない。

ASKAほどの大物であればなおさら、

今後、万が一の事態(再犯や再入院など)が起きた時に、

「あのときの弁護士は何だったんだ?」と追及されかねない。

 

だから、それを堂々と綴ってしまったASKAについても、

「こりゃー、そうとう状態が悪いな」と思ったわけである。

 

相模原の件に話を戻そう。

 

俺は、知り合いの精神科医何名かに意見を聞いてみたのだが、総じて

「簡単に退院させられる患者ではない!」と明言していた。

 

それでも早期に退院させざるを得ないケースがあるとすれば、

俺が上記の3で指摘したように、

「弁護士の介在が理由となることは、少なくない」という。

 

今は、法テラスという相談機関もでき、金銭的に余裕のない患者でも、

(条件に該当すればであるが)無料で相談ができたり、

費用を立て替えてもらうことができる。

弁護士は弁護士で、今は仕事が減っている。

 

仕事がほしい弁護士と、早期退院を望む患者の間で、

言葉を選ばずにいえば、「利害」が一致するのだ。

 

入退院を繰り返しているような患者が、この仕組みを理解していて

他の患者に知恵を授けるようなケースもある。

 

もちろん中には、志を持って人権問題に取り組んでいる弁護士もいるだろう。

弁護士を介入させることは患者の正当な権利だし、

それによって救われた患者もいるに違いない。

 

だがその一方で、患者の病状や、患者を支える家族の現状など考えず、

単に「仕事になるから」という理由で、安易に退院に関わる弁護士もいる。

 

医療機関にしてみれば、頻繁な第三者の介入があれば、

誰もが弁護士を呼びたがって院内の規律が乱される恐れもあり、

医師の本分である治療に影響を及ぼすことにもなる。

 

よほど性根が据わり、信念を持つ医師でなければ

弁護士と闘ってまで、患者の治療を継続しようとは思わないだろう。

 

そしてその結果、退院後に患者がトラブルを起こしたとしても、

弁護士の責任は一切、問われない。

 

医療側には守秘義務があり、弁護士云々なんて一切、口外できないし、

患者が自ら口外することも、ほとんどないからである。

 

俺はその手の生々しい話を、患者本人や家族、

医療従事者からたびたび、聞いてきた。

 

厚労省が推し進める「脱施設化」のおかげで

弁護士にも仕事がまわるようになり、

それがさらに「脱施設化」のエンジンになっている。

 

たとえ無責任な弁護士が跋扈していても、

その現実は、一般にはなかなか知られない。

 

もはや、退院に関するマニュアルが存在し、

弁護士の利権になっているのではないかと思うくらいだ。

 

この辺りにも俺は、精神保健分野の闇を感じてしまう。

(なお、この精神保健分野を食い散らかす「利権」については、

もっといろいろあるので、次のブログ詳しく書く)

 

措置入院後、短期間での退院を果たした植松容疑者の動きにも、

そういうプロの匂いがする。「プロってるな」と感じるのだ。

 

なぜわざわざこのようなことを書いたかというと、

こういった利権の闇ともいえる構造には目を向けず、

相も変わらず警察の対応が叩かれたり、あるいは、

今回担当に当たった病院や精神科医だけが責任を問われたりするのは、

違うだろうと思うからだ。

 

そんなことをしていては、頑張っている精神科医ほど萎縮し、

危険で対応困難な患者を、ますます避けるようになってしまう。

 

かといって措置入院の期間をむやみに延ばせば良いという問題でもない。

 

「医療と行政が連携して措置入院後のフォローを」

という話も出ているようだが、以前から俺が訴えてきたように、

対応困難な患者ほど、医療につなげることさえできていないのが現実だ。

 

つまり保健所など当該行政機関の職員には、

措置入院にいたるような患者を含め、対応困難な患者と、

直接かつ継続的に対話できる能力はないのだ。

 

そのための訓練も受けていないし、危機管理の体制もとれていない。

 

このうえさらに、措置解除後の患者のフォローまで振られたら、

さすがに行政機関の職員に同情するレベルだ。

条文を作ったところで、またしても形骸化して終わるだろう。

 

厚労省のホワイトカラーさんたちには、是非その頭脳を駆使して、

この問題を、一部ではなく、全体像から考えてほしい。

 

現場のことが知りたいなら、しつこいようだが、俺の本を読んでくれ。

 

表紙

(10刷 6万6千部)