金の切れ目が…②

昨日のブログの続きである。

 

少し前のニュースになるが、千葉県銚子市で

母親が生活苦から中学生の娘を絞殺した事件があった。

 

その判決が、今年の6月に出ている。

 

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(以下引用:朝日新聞デジタル2015年6月12日)

 

強制退去の日に長女殺害 生活苦、母に懲役7年判決

 

千葉県銚子市で長女(当時13)を殺害したとして、殺人罪などに問われた松谷美花被告(44)に、千葉地裁は12日、懲役7年(求刑懲役14年)を言い渡した。生活に困って家賃を滞納し、県営住宅明け渡しの強制執行日に起きた事件。佐々木一夫裁判長は「結果は重大だが、被告は精神的に追い込まれ、突発的な犯行でもあった」と述べた。

 

判決によると、松谷被告は昨年9月24日朝、県営住宅の自室で、寝ていた長女可純(かすみ)さんの首をはちまきで絞め、窒息死させた。

 

5日間にわたる裁判員裁判などで、事件までの経緯が明らかになった。

 

被告は中学2年だった可純さんとの2人暮らし。給食センターでパートとして働き、児童扶養手当などを合わせても、月の収入はおおむね11万~14万円。時期によって極端に少ない月もあった。

 

2012年途中から家賃を滞納。可純さんの中学入学の準備のため、13年2月ごろヤミ金に手を出した。可純さんにはバレーボール部のジャージーやシューズ、アイドルのグッズなどを買ってあげた。

 

強制執行日の昨年9月24日朝。同じ布団で寝ていた可純さんの首を、はちまきで絞めた。数日前にあった体育祭で可純さんがしていたものだった。地裁支部の執行官らが室内に入ったとき、被告は可純さんの頭をなでながら、体育祭で活躍する可純さんの映像を見ていた。

 

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これだけ読むと、生活苦ゆえの事件かと同情もするのだが、

ほかのニュースによれば、母親は取り調べに対し、

「世間体で娘の持ち物や服を買ったら、支出が収入を上回るようになった」

と話していたそうだ。

 

また、娘のために、アイドルグループのコンサートチケットを購入したり、

関連グッズを大量に買い与えたりと、浪費があったことも指摘されている。

 

ちなみに公判では、母親の詐欺罪(ヤミ金融業者に譲渡するため口座を開設し、

預金通帳などを詐取したとする)も審理されている。

 

俺は何も「貧しい家庭は娯楽を我慢するべきだ」と言いたいわけではない。

親であれば、子供が恥ずかしくないような格好をさせたい、

貧しさが理由で、惨めな思いをさせたくない、などと思うのは、

当然のことだろうと理解できる。

 

だからといって、浪費の結果、金がなくなり、

子供を殺して終わり、では、あまりに短絡的すぎるし、

殺された子供のことを思うと、腹が立ってならない。

 

しかしこの頃は、俺が携わる案件でも、

これに近いような例が増えた。

 

「生活が苦しい」と言いながら、子供のために大金を遣っている。

着るものや学業のため、というのなら、まだ分からないでもないが、

小・中学生の子供に、ゲームやアニメを大量に買い与えたり、

女子の場合だと、化粧品や美容代に大枚をはたいていたりする。

 

これは、親が比較的、若い(30~40代)家庭に多い。

 

「言うことを聞かないと、子供が怒って暴れるから」

というのが親の言い分であるが、

金を遣わないと、子供を押さえきれない、

そのような親子関係になってしまっているのだ。

 

その点を振り返って反省し、軌道修正しない限り、

いきつくところは「金の切れ目が命の切れ目」にもなりかねない。

 

今は、子供の持ち物や娯楽にも、何かと金がかかる時代である。

また、俺の年代の親たちには、自分たちが、

それなりに親から金をかけてもらって育ってきていることが多い。

「子供には金をかけてやらなければ」という世間体や見栄が、

根強くある世代でもある。

 

「子供に金を遣うな」とは思わない。

ただ、子供への金のかけ方には、

「良い遣い方と、悪い遣い方」があることを

よくよく考えていかねばなるまい、と思うのだ。

 

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