闘うスピード

昨年の夏にアメリカ西海岸を訪れて以来、

向こうで暮らしているひとたちと、

ビジネス的なやりとりをすることが増えた。

 

驚かされるのは、そのスピード感だ。

 

仕事上のやりとりにしても、メールの返事ひとつとっても、

とにかく速いのである。

 

もしかしたら、100%ではなく80%くらいの回答なのかもしれない。

しかし、「俺の主張はここだ!」と見切りをつけて、返答をよこす、

そして、分からない部分は、素直に相手にゆだねる。

その潔さがまた、気持ちがいい。

 

もちろん、物事には、中長期の視点をもって進めなければならないこともある。

しかし日々の細々した仕事に関しては、やはりスピードが速いほうがいい。

 

極端な例えになってしまうかもしれないが、

急な事故による大怪我や、脳卒中のような突然の病気など一刻を争う事態のとき、

現場の医療スタッフには、最大のスピード感が求められる。

それがいわゆる“プロの仕事”なんだと思う。

命に関わらない仕事ならば、

ちんたらやっていいという理屈にはならない。

 

日本にいても、仕事ができるひとは総じて、スピードが速い。

それはだいたいが、上の層にいるひとたちだ。

中間層にいる人間ほど、横に並んだひとたちと歩調を合わせつつ、

だらだらだらだら、仕事をするのが板についてしまっている。

 

しかしアメリカという国では、スピードが速いことはもはや標準であり、

スピード感のないひとは、それだけでチームから外されるのではないだろうか。

アメリカでビジネスをするひとたちのスピード感を見る限り、

そんな気がしてならない。

 

そのスピード感には、鬼気迫るほどの情熱がみえる。

だから俺もまた、マッハの勢いで頑張ろうと思える。

もはや闘いだよな。いいものを生み出すための闘いだ。

 

闘いは得てして、スピード感のあるところにしか生まれないのである。