負けからの切り替え

仕事でもプライベートの人付き合いでもそうだと思うが、

ダメな出来事があったときに、上手な切り替えができるひとを見ると

このひとは、頭がいいなあ、と思う。

 

負けの美学、とでも言おうか。

 

仕事で失敗をして、君はもういいよとなったときに、

言い訳をしたり、めそめそしたりせず、

「お役に立てずに申し訳ありませんでした」

と頭を下げて帰っていく。

 

もちろん、いつもそればっかりでは、

「お前、反省してんのか!?」と言われてしまうだろうが、

一定の能力のあるひとが、そういう去り方をするのを見ると

素直に、かっこいいなと思える。

 

俺がスポーツをやってきた人間をリスペクトしちゃうのは、

その姿勢が身体に染みついているからだ。

とくに日本一をかけてやってきたような奴ほど、負けたときの引き際が美しいし、

「じゃあ次は、どうやって勝とうか?」という頭の切り替えが、とても早い。

 

正月の新聞で、宮崎吾朗が父親について語っていたのだが、

宮崎駿は、周囲から「これはダメだ」と言われると、

対策を次から次へと出してきて、アイデアが尽きないらしい。

これはまさに、天才の、天才たるゆえんではないだろうか。

 

何か失敗をしたとき、うまくいかなかったとき、

いつまでも引きずって、「まあ、ええわ!」と切り替えられず、

ひどいときには他人のせいにしたり、他人に当たったりするのでは、

周りもムダに気を遣わなければならないし、進化を止めることに他ならない。

 

俺は最近気づいたのだが、この切り替えがうまくないひとは、

勝負を避ける生き方しか、していないんだよな。

 

ひとから良く見られたい、けなされたくないということばかりを考えて、

慎重に慎重を重ねて生きている。

生きていれば、絶対に白黒つけなきゃいけないときがあるのだが

そういうところはすべて、うまいこと他人に任せて生き延びてきた。

 

そんなことばかりしていると、決断力もない、切り替えもできない、

ひとの足をひっぱるだけの生き方に、どんどんなっていく。

 

俺が知る限り、そういうひとほど、年をとってから、

とてつもなく大きな難問を突きつけられることに、なっている。

 

年齢に関係なく、人間、一度は勝負に出ないとダメなんだな。

俺なんか勝負ばっかりこいて、負けてばっかりいるけど

一丁やったるかの精神をいつまでも忘れずに頑張ろうと思った。