脂汗テッカテカ

先週は、最上級の難関をまた一つ、突破した。

 

ひと山越えて、ホッとしたところでトイレに立ち寄ったら、

俺の額は、脂汗でテッカテカに光っていた。

 

俺はもう冷や汗をかくことはないが、

脂汗をかく機会は増えた。

 

俺からすると、冷や汗ってのは、

なんだか分からない未知の出来事に出会ったときに、出るものだ。

だからそれは、苦労を知らない若者がかくものだと思っている。

 

そういう意味では、俺も若い頃、苦労も知らないくせに無茶ばかりやって、

それこそ冷や汗をかきまくっていた。

 

そこで積んだ経験があるからこそ今は、

たとえ突発的なトラブルが起きても「なんとかできる」という自信がある。

もちろん、事前の入念な準備や危機管理も怠らない。

 

こうして冷や汗はかかなくなったけど、

今度は、脂汗をたっぷりかくようになった。

 

なぜかと言うと、それだけ自分に課せられる責任が大きくなったからだ。

 

本業の業務に限らず、ひと様から、

とても難しい課題を振られるようになった。

 

しかし、「出来ない」とは言えない。

失敗はできない。泣き言も言えない。

絶対に答えを出さなければいけない。

 

クライアントや仕事の関係者だけでなく、

事務所の若いスタッフも、俺の背中を見ている。

 

内心「やべーな」と思うことがあっても、

諦めたり、オタオタしたりするような、

情けない姿は見せられないのだ。

 

そういうことの連続だから、無事にひと仕事を終えたあとには、

脂汗がどっと出る。額はテッカテカになる。

 

しかしそれも、おっさんの勲章や! と俺は思う。

 

世の中には、おっさんの脂汗や、それに伴う加齢臭を、

「くさい」とか「きもい」とか言う奴が多い。

 

それを気にして、脂汗をかかないよう、

面倒なことは全部排除して、さわやかさを装って

生きているおっさんもいる。

 

年くってまで、さわやかな香りをさせてどうする!

と俺は言いたい。

 

おっさんの脂汗や加齢臭にはな、

それなりの覚悟が詰まっているんだよ!

わかったか!