新年のご挨拶 2018年

新年明けましておめでとうございます。

 

年明け早々から、家族間事件が相次いでいる。ツイッターに挙げた分だけでもすでに9件。8名もの尊い命が奪われてしまった。しかも、加害者の多くは我が子である。やるせない思いでいっぱいだ。亡くなられた8名の方のご冥福をお祈りいたします。

 

年末のテレビ番組で、池上彰さんが“ヒアリ”のニュースを取りあげながら、「全国に広がると、メディアは報道しなくなる」というようなことを言っていた。俺は激しく同意した。メディアは常に新しいネタを探している。どんなに重大な問題であっても、一般化すればするほど熱心に取りあげられなくなる。注意喚起も行われなくなるから、そこから先は個々が注意していくしかない。

 

家族間事件も、同様の過程を辿っているように思う。だからこそ俺は、今年も地道に、芯食った真髄をバチッと言いつづけなければ! と決意した。

 

年末年始も俺は、「いつ家族間事件が起きてもおかしくない」案件のため、いつでも出動できるよう待機していた。その案件も含め最近は、医療につながれない精神疾患、親子・きょうだい間の憎悪、介護の問題、相続・金銭トラブル…そのすべてが複雑に絡み合っている相談が増えた。

 

社会が、医療へのアクセス(移送)や長期ひきこもりに関する課題を放置してきた結果、親も子も高齢化し、一つの家族がさまざまな問題を抱え込むようになった。これでは、追いつめられた「誰か」が、いつ家族に手をかけてもおかしくない。

 

俺も依頼を受ける際には、これまで以上に、じっくりと体制を整えて取りかかっている。幾つもの相談を一手に引き受けることはできないからこそ、本や漫画を通じてありのままの現実を伝えたい。なぜなら多くの人に真実を知ってもらわない限り、議論すら起こらないからだ。このままでは、皆が迷子になってしまう。

 

1月9日には『「子供を殺してください」という親たち』コミックス2巻が刊行となる。「ひきこもりのリアル」が、今回のテーマだ。ちょうど先ほど、「中高年の引きこもり初調査へ=政府、40~59歳の実態把握」なんていうニュースも出ていたが、俺の漫画のほうがずっと先行して「実態」を描いていると、断言する。